全東信は、飲食店を中心とした加盟店向けにクレジットカード決済サービスを提供していた決済代行会社(PSP:Payment Service Provider)です。
単にカード決済を導入するだけでなく、加盟店へ通常より早く売上金を支払う「早期支払いサービス」を強みとして事業を拡大しました。
一方で、2026年には破産手続きが開始され、そのビジネスモデルや加盟店審査のあり方が大きな注目を集めました。
全東信のビジネスモデル
全東信の収益源は、加盟店から受け取る決済手数料です。
ビジネスの流れは次のようになります。
- お客様が店舗でクレジットカードを利用する
- カード会社が決済を承認する
- 全東信が加盟店へ売上金を支払う
- 後日、カード会社から売上金が全東信へ支払われる
- 手数料が全東信の収益となる
全東信は、カード会社と加盟店の間に入り、決済処理や入金業務を代行することで収益を得ています。

最大の特徴は「早期支払いサービス」
一般的なクレジットカード決済では、加盟店へ売上金が振り込まれるまで数週間から2か月程度かかるケースがあります。
しかし全東信では、
- 月6回払い
- 短期間での売上入金
など、通常より早く売上金を受け取れるサービスを提供していました。
飲食店は日々の仕入れや人件費など現金が必要になるため、このサービスは大きなメリットとなっていました。
「最後の駆け込み寺」と呼ばれた理由
一般的に、
- 開業直後の店舗
- 売上実績が少ない店舗
- リスクが高いと判断されやすい業態
では、カード加盟店の審査が厳しくなる傾向があります。
全東信は個人経営の飲食店や風俗店など比較的幅広い加盟店を受け入れていたことから、「最後の駆け込み寺」と呼ばれることもありました。
その結果、多くの加盟店を獲得し、全国規模の決済代行会社へ成長しました。
ビジネスモデルが抱えていたリスク
全東信の強みでもあった「早期支払いサービス」は、大きな資金を常に必要とするビジネスでもありました。
加盟店へ先に売上金を支払うため、
- 銀行からの借入
- 継続的な資金調達
に依存する側面がありました。
さらに、加盟店でチャージバック(カード利用者への返金)が発生すると、その負担を決済代行会社が負うケースもあります。
加盟店のリスクが高いほど、決済代行会社も大きなリスクを抱えることになります。
破産につながった要因
全東信の破産には複数の要因が重なったと考えられています。
コロナ禍による売上減少
新型コロナウイルス感染症の拡大により、飲食店の営業自粛や時短営業が相次ぎました。
加盟店の売上が減少したことで、全東信の取扱高も大きく落ち込みました。
不正加盟店問題
2024年には、本来審査を通過しない加盟店について、不正な契約が行われていた疑いで社員が逮捕され、その後法人も書類送検されました。
これにより信用不安が広がり、銀行からの資金調達が難しくなったことが経営に大きな影響を与えました。
まとめ
全東信は、加盟店へ売上金を早く支払う「早期支払いサービス」を武器に成長した決済代行会社でした。
飲食店を中心に支持を集めた一方で、資金繰りへの依存度が高いビジネスモデルであり、コロナ禍による取扱高の減少や不正加盟店問題による信用失墜が重なったことで、事業継続が困難となりました。
決済代行業はキャッシュフローの管理と加盟店審査が極めて重要であり、全東信の事例は、ビジネスモデルとリスク管理の両方を考える上で参考となるケースといえるでしょう。

